『生きる意味 人生にとって一番大切なこと』アルフレッド・アドラー
しばらく前からブームになっている
アドラー心理学ですが、
セミナーなどで話は聞くものの
本人の著作を読んだことはありませんでした。
まだ2018年11月に出版されたばかりの新しい本で、
図書館で長らく順番を待って借りましたが
まだ新品同様の美しさで気分良く読めました。
ただ、軽い読み物ではないので
久しぶりに大学の課題図書を読んだような重みが
ありました。
正直、会社の昼休みに少しずつ読み進めた程度で
100%理解できたとは思えません。
しかし、アドラーが生きた19世紀末~20世紀に
かけて人生において大切だと説かれたことと、
今現在も何一つ変わりないことに人間の普遍性を
感じました。
人生の3つの課題とは
アドラー心理学は「個人心理学」と呼ばれるものです。
個人心理学では、人生の3つの課題を
他者との生活・仕事・愛
としています。
人は社会的な生き物ですから、心理学と社会学の
関係は無視できません。
個人心理学のキーワードとして大切なのは
「共同体感覚」です。
自分が社会の中で生きているという自覚があり、
人間関係において相手を気遣ったり、
思いやったりできる、人として不可欠な感覚です。
人生において3つの課題につまづくとき、
人は共同体感覚の成長を必要とされるのです。
また、アドラーは共同体感覚と
子供の頃”甘やかされて育ったかどうか”が
どう結びつくか、
様々な症例を挙げて
”甘やかし”の弊害について述べています。
甘やかされて育った子供は自分のことしか考えず、
自分が他人に迷惑をかけるという意識を
持ちにくいようです。
甘やかされて育つと共同体感覚が未熟なため、
人生の3つの課題でつまづきやすいのです。
必ずしも親の育て方が悪いと批判している訳では
ありませんが、
共同体感覚は子供の頃に培われるものなので
今子育てをしている人は甘やかしに注意することが
子供の将来にとって役に立つとは言えるでしょう。
大人になって人生の課題に悩み、苦しむとき
子供の頃どのように育ったかを知ることで、
その原因を見つけることができます。
そして、その課題を乗り越えるためには
共同体感覚を養う必要があり、
その過程が人としての成長につながるということです。
劣等感があるからこそ、人は成長できる
個人心理学では、そもそも人間とは
劣等感を持つものだとされています。
アドラーが指摘する劣等感は2つ、
「劣等コンプレックス」と
「優越コンプレックス」です。
これらも共同体感覚と結び付けて考えることが
できます。
共同体感覚が身に付いていない人には、
劣等コンプレックスや優越コンプレックスが
見て取れます。
しかし、人間は誰もが完全ではありません。
これらの劣等感があるからこそ、
人はそれを克服するために
目標を持って行動することができるのです。
完全を目指して努力することからは
創造性が生まれます。
生きる意味とは
アドラーは心理学者でもありますが、
医者でもあります。
たくさんの患者の様々な症例を紹介し、
どうしてそうなったのか原因を探り、
どうしたらそれを克服し治すことができるか
個人心理学に基づいて説明しています。
そこには患者への愛、
完全ではないけれど完全を目指す人間への愛が
感じられます。
アドラーが言うように、
生きることは成長すること
です。
すべての生命が創造しながら進化するということは、あらゆる種の成長は、完全という目標、宇宙の要素に積極的に適応していくという目標に向かっているということです。
もっと奥深いことがたくさん書かれていますが、
シンプルに生きる意味とは絶え間なく成長すること
だと言えるのではないでしょうか。
私たち人間は不平等であり、
生まれた環境や育った環境により得たものや
身に付けたことも異なりますが、
どのような人であれ、完全な人間などいません。
しかし、誰もが不完全な部分を克服して
完全で安心できる環境を求め、
優れた人間となるべく進化していくのです。
その成長の過程こそが、
生きるということではないでしょうか。
生きる意味 人生にとっていちばん大切なこと [ アルフレッド・アドラー ]
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