『超訳 ブッダの言葉』小池龍之介 編訳

正直、この本を読むまでブッダのことは
よく知りませんでした。

仏教の源になった教えだとは知っていましたが、

ブッダがどんな生涯を送ったか
どうしてこのような教えが生まれたのか、
背景をも知ると感慨深いものがあります。

お釈迦さまというのはブッダのことですが、

神様ではなくシャカ族の王子として生まれた
普通の人間です。

人間なのに神様レベルに尊敬されたのは、
彼が長年の修行によって悟りを開き、

その後もたくさんの苦難を乗り越えた経験から
人々の心を救うことばを残したからでしょう。

約2600年も前に悟りを開いたブッダですが、
2018年の現在でもその教えを全く違和感なく
受けとめることが可能であることは驚きです。

人間の欲や心理というのは
これほど長い年月が過ぎ去っても
根本的なところではあまり変わらないようです。

 

求めない=足るを知る

 

ブッダのことばはとてもシンプルです。

私が今回特に心に響いたのは
「求めない」の章でした。

老子の教えの中にもよく登場する
「求めない」精神ですが、

なかなか「求めない」境地に至れません。

欠乏感は心理学でも大きなテーマである
執着心に繋がります。

満たされなければ執着がどんどん強くなり、
心は乱されてしまいます。

本当の「自由」とはそのような執着心がなく、
何事からも解き放たれた状態のことです。

つまり、「求めない」こと。

欠乏感を感じない”足るを知る”という状態です。

〇五八

自分に与えられているものに幸せを見る

君の手に与えらえたものが
たとえどんなにわずかでも、
君がそこに幸せを見つけるなら、
「足るを知る」充足感で心はきれいに澄んでいく。
そのきれいな心の波は、
目に見えない高次の生きものたちを喜ばせて
惹きつけるだろう。

法句経366

自分の欲をコントロールすることは
常に心を平穏に保ち、穏やかな幸せを感じるために不可欠です。

それが難しいからこそ、それは修行なのでしょう。
ブッダの時代とは異なる現代でも
世界中の人間は欠乏感に苛まれ、

「もっと!もっと!」「欲しいよ~!」

と、心の敵と戦っています。

自分が今手にしているものや環境に感謝することが
”足るを知る”の第一歩ですね。

 

幸せ(ハピネス)を知る

 

「求めない」とも通じていますが、
次に印象的だった章は
「幸せ(ハピネス)を知る」でした。

いろいろな幸福の状態が紹介されていますが、
今の私が特にこうありたいと感じたのは
下記の2つでした。

一一四

技術を身につけ、
それが人の役に立っている

「自分はひとかどの人間になった」と
思い上がることなく、
広くさまざまな人の話を聞き、
学ぶことをやめずにいられること。

これが最高の幸福。

生きてゆくために役立つ
何かしらの技術を身につけていて
それが他人様の役に立っていること。

これが最高の幸福。

経集261

仕事においては、上記のようにありたいです。

死ぬまで学ぶことは多々あるはずです。
自分が学び、身に付けたことが
誰かの役に立つなら、それは何よりの幸せです。

一二四

いつでもどこにいても
何があっても幸福でいられる

心が安らいでいて平静であれば、
いかなるところで、いかなることが起ころうとも、
心がくじけることもなく、心がへこむこともなく、
負けるということがない。
それゆえに、どこにいても心が幸福でいられる。

これこそが最高の幸福。

経集269

人生全般においては、上記のようにありたいです。
これこそ、本当に究極の幸せですよね。

些細なことで心がざわつき、
くじけたり、凹んだり。

でも人に迷惑をかけたくないから
無理して平静を装って疲れてしまうことが
多々あります。

無理をしなくても、
いつもそのような心の状態でいられたら

地上にいて、まるで天国にいるかのような幸せを
日々感じることができるでしょう。

 

何のために生きているのか

 

人は誰でも幸せになるために生まれて来たと
思います。

 

生きる目的は幸せになること

 

ではありませんか?

私たち日本人はほとんどが無宗教で
無条件に信じる教えがないために、

不安や迷いを感じたときに
すがるものがありません。

自分で乗り越えるしかありません。

そのようなときはブッダの教えのように
生き方の指針となることばを支えにすると
よいのではないでしょうか。

そして、エゴがそそのかしてくる
欲に基づいた幸せではなく、

ブッダが説いている真の幸せの境地を目指し、

いつでもどこにいても
何があっても幸福でいられる

ように、日々自分と向き合っていくことにします。

その他にもたくさんの
心が洗われる言葉が詰まっています。
心が折れそうなとき、ページを開きたくなりそうです。

<目次>
一 怒らない
二 比べない
三 求めない
四 業(カルマ)を変える
五 友を選ぶ
六 幸せ(ハピネス)を知る
七 自分を知る
八 身体(からだ)を見つめる
九 自由になる
十 慈悲を習う
十一 悟る
一二 死と向き合う


超訳ブッダの言葉 [ 小池 龍之介 ]

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